私が、初めてメキシコに足を踏み入れたのは2017年の夏でした。その当時は予防接種なんて知らず、呑気に10日間過ごしてました。その後、東京で通っていたスペイン語学校の子がメキシコに数ヶ月行くと話を聞いて、話をしてたら半年前から準備して予防接種をしていると聞きました。半年も前から準備しないとならないなんて!?急いで予防接種について調べました。
今回は、2回に渡って、渡墨前にしておきたい予防接種についてご紹介します。
海外渡航前の予防接種
海外渡航の予防接種には、2通りあります。一つは、入国時に予防接種を要求する国(地域)に渡航するために必要なものと、もう一つは海外で感染症にかからないように自らの意思で体を守るためのもの。南米の熱帯地域では予防接種証明書を要求される国もありますが、メキシコに入国する際は特に要求されません。なので予防接種を受けるかどうかは任意になります。
メキシコに滞在する場合、厚生労働省検疫 FORTHでは、以下の予防接種を受けることを推奨しています。
- A型肝炎
- 破傷風
- (狂犬病)
それに加えて外務省のHPでは、以下の予防接種も受けることを推奨しています。
- B型肝炎
- 腸チフス
スペイン語で予防接種は la vacunación(英語では、vaccination)ワクチンは la vacuna(英語では、vaccine)と言います。
それぞれについて見ていきましょう。
A型肝炎
西語、英語共に:Hepatitis A
A型肝炎ウイルス(HAV)による一過性の感染症。B型およびC型肝炎と比べると慢性化することは稀。発生は衛生環境に影響されやすく、A型肝炎は発展途上国では蔓延しているが、先進国では上下水道などの整備により感染者は激減している。
<感染経路> 糞便により汚染された食物や水を摂取することで感染が成立する糞口感染、魚介類の生食などによる経口感染がほとんどだが、性行為や輸血による血液感染の報告もあります。
<症状> 感染後15日~50日の潜伏期間(平均して28日程度とされる)ののち、食欲不振、全身倦怠感、腹痛、おう気・おう吐、発熱、下痢、黄疸(眼球の白い部分や全身の皮膚が黄色くなる)がおこる。
<治療法> 特別な治療法はない。症状に応じて治療し、安静にして抗体ができることを待つのみ。治癒後は強い免疫が残る。
破傷風
西語:Tétanos、英語:Tetanus
破傷風菌がうつることによってかかり、筋肉をけいれんさせ、口や手足のしびれがおこる病気。治療が遅れると亡くなる割合が非常に高い病気でもある。
<感染経路> けがをした傷口から破傷風菌が体の中に入ります。破傷風菌は、世界中の土のなかに存在し、特に動物の糞便で汚染された土壌が危険。深い傷だけでなく、ガーデニングなどでできる小さな傷からも発症する。
<症状> 感染後3日から3週間の潜伏期間ののち、口が開けにくい、首筋が張る、体が痛いなどの症状があらわれる。その後、体のしびれや痛みが体全体に広がり、全身を弓なりに反らせる姿勢や呼吸困難が現れたのちに死亡する。
<治療法> 発病した患者には治療のための血清や抗菌剤を投与。傷口の治療や呼吸をしやすくするための治療が行われる。
狂犬病
西語:Rabia、英語:Rabies
犬だけではなく、人を含めた全ての哺乳類が感染し、発病すると治療方法がなく、悲惨な神経症状を示し、ほぼ100%死亡する極めて危険なウイルス性の人獣共通感染症。
<感染経路> ほとんど全ての哺乳動物から感染する可能性があり、ウイルスは感染動物の唾液に含まれているので哺乳動物に咬まれたり、傷口、目や口の粘膜をなめられたりすることで神経系の細胞に感染する。動物は前足をなめるので、ウイルスの付いたツメで引っかかれても感染する可能性がある。ただし、人から人へ感染することはなく、感染した患者から感染が拡大することはない。
<症状> ウイルスが直接中枢神経を侵した場合、10日目あたりから発熱、頭痛、全身倦怠や嘔吐などを起こす。一方、末梢の神経線維に感染した場合には、ウイルスは非常にゆっくりと脳へ向かうので、発症まで一般的に1カ月~3カ月程度の期間を要する。発症後は、ものを飲み込みづらくなり、液体を飲もうとすると筋肉が痙攣し、やがて昏睡状態となり、呼吸が麻痺し死亡する。
<治療法> 症後の有効な治療法はない。哺発乳動物に咬まれた場合は、すぐに傷口を石鹸と水(できれば流水)でよく洗い、消毒液で消毒すること。環境中では直ぐに感染力が弱まるウイルスです。また、できるだけ早く病院を受診し、医師の指示に従ってワクチンを接種する。
B型肝炎
西語、英語共に:Hepatitis B
B型肝炎ウイルス(HBV)による一過性の感染症。B型肝炎ウイルスは人から人へと感染する。
<感染経路> 患者との性行為やウイルスに汚染された医療器具の使用により感染。患者から生まれた新生児は生まれた時点で感染していることがある。
<症状> 感染後90~150日の潜伏期間ののち、倦怠感、食欲不振、吐き気、嘔吐、腹痛、黄疸(皮膚や目の白い部分が黄色くなること)がおこる。
<治療法> 急性のB型肝炎に対しては、症状を和らげるための治療が行われ、慢性化した場合には、抗ウイルス剤による治療が行われる。
腸チフス
西語:Fiebre tifoidea、英語:Typhoid fever
サルモネラ属のチフス菌による感染症。口から移る病気だが、下痢はあまりみられない。菌が腸に入った後、血液中に侵入するのが特徴である。
<感染経路> 感染したヒトの便や尿に汚染された水、氷、食べものを取ることによって移る。ごく少量の菌によって感染することもある。
<症状> 感染後1~3週間の潜伏期間ののち、高熱、頭痛、全身のだるさ、高熱時に数時間現れる胸や背中、腹の淡いピンク色の発疹、便秘などの症状が現れる。熱が高い割に脈が遅いのが特徴。重大な症状として、腸から出血したり、腸に穴が開いたりすることがあります。
<治療法> 効果のある抗生物質を長期間服用。
どの予防接種を受けるべきか
まずはどの予防接種を受けるかを決めなければなりません。
上記に厚生労働省検疫と外務省の推奨する予防接種をあげましたが、個人的には、全ての予防接種をする必要はないと思いました(自己判断です)。
もちろん念には念を。全て接種しておくことに越したことはありませんが、ワクチンが身体に入るということの抵抗感のある人もいると思います。それに、海外赴任等の場合は会社負担で予防接種を受けることができますが、個人で渡墨する場合は自己負担になります。そして予防接種は保険適用外(自費)なのでそれなりの費用もします。
メキシコにいる彼になんの予防接種を受けた方が良いか、確認したが、「予防接種?そんなの受ける必要あるの?」と言った感じで全く参考になりませんでした...。
私は幼少期アメリカで育ったのですが、アメリカでサマーキャンプに通う際に破傷風は打っていたので、母親に破傷風を勧められました。環境的にA型肝炎と狂犬病も考えてました。クリニック(病院)の医師に相談のうえ、結果的にA型肝炎、破傷風と狂犬病を受けました。
住む地域を考慮し、予防接種についての知識を持ち、ある程度どの予防接種を受けるべきか決めたうえで医師(専門家)に相談して決めることをお勧めします。
次回は実体験の話とメキシコの予防接種事情についてご紹介します。
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